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生命保険(せいめいほけん)とは、人間の生命や傷病にかかわる損失を保障することを目的とする保険で、契約により所定の条件のもと、死亡した場合などにおいて保険金を受取人に支払うことを約束するもの。
日本では生命保険会社が行っている。なお、生命保険会社以外にほぼ同様の商品として、日本郵政公社の簡易保険があり、農協や生協などの共済では、「生命共済」の名称で取り扱われている。
損害保険の傷害保険に似るが、損害保険の要件とされる「急激・外来」の条件に拘束されない点で異なる(但し、特約として傷害保険を含む場合もある)。
病気にかかる危険度は(新生児を除けば)年齢とともに高まるから、外来の事故のみを保障する傷害保険と異なり、年齢ごとの危険率の差が大きい。従って年齢ごとに異なった保険料を定めた方が公平であることから、生命保険の保険料は被保険者の契約年齢時の平均余命を基に算出される。
一方でその高額な保険金を狙った犯罪も後を絶たない(モラルリスク)。従って、生命保険会社としては契約引受けや保険金支払に際して慎重さが求められる。
生命保険会社では、他にも貯蓄や老後の保障といった幅広いニーズに対応するため、「財形貯蓄積立保険」や「個人年金保険」などの商品を取り扱っているが、これらも広い意味で生命保険と言える。
分類
主な生命保険の種類
- 定期保険
- 保険期間が定められている保険。1年毎の更新、またはある程度長い期間での契約が一般的である。満期を迎えても途中解約をしても満期保険金・返戻金を受けることが出来ない、いわゆる「掛け捨て」タイプ。保障される金額に対する保険料は比較的安いため、子どもが成長するまでの世帯主など、一定期間、高額な保障が必要とされる場合に利用される。
- 終身保険
- 保険期間を定めず、生涯にわたって保障される保険。途中解約をした場合に返戻金が出ることが多いが、通常は払い込んだ保険料の総額よりは少なく、また契約してからの期間が短いほど返戻金は少ない。死亡した場合必ず保険金が支払われるので、定期保険と比較すると保障される金額に対する保険料が割高である。
- 養老保険
- 保険期間内に死亡した場合に保険金が支払われるのはもちろんだが、満期になった時に生存していた場合、満期返戻金として保険金額と同額が下りるというもの。契約満了時には通常、満期返戻金に加え、配当金が支払われるため、払い込んだ保険料よりも多く受け取れる為「貯蓄型」とも呼ばれる。加入時の年齢や保険期間によっては貯蓄性がない場合もある。これは、生存保険と死亡保険を同額組み合わせることで保険金給付に関わるリスクを減らし、貯蓄的な色合いを濃くしたものである。かつては、途中で解約した場合にも、払込金額以上の金額が戻って来ること、一定条件を満たせば被保険者死亡時にかかる相続税の取り扱いが優遇されていることなどから、本来の目的を離れ、貯金代わりに利用するものも多かったが、バブル崩壊後徐々に予定利率が減少し、途中解約しては支払金額以上には戻って来なくなったので、この利用法は廃れた。養老保険の場合、満期時に生存していれば確実に保険金が受けられるので、保険料は定期・終身保険よりもさらに割高になっている。バブル期には当時の高利回りを狙った「一時払い養老保険(契約時に保険料を一時金として一括払いする養老保険)」が流行った時もあった。
実際の契約では、これらを組み合わせた形で設計されることが多い(「定期付き終身保険」「傷病特約付き定期保険」など)。
生命保険の主な特約
特約とは、終身保険や定期保険などの主契約に特約として付加出来る、いわば生命保険のオプションとしての存在である。
- 医療特約
- けがや病気が原因で入院したときに所定の金額が受け取れるもの(災害入院特約・疾病入院特約)が一般的。
- 介護保険特約
- 自分が介護を受ける必要が出てきた場合に給付金などが受け取れるというもの。但し、給付条件が国の障害者認定1級よりも厳しいものもある。
- リビングニーズ特約
- ガンなどで、余命数ヶ月と判断されたときに、保険金額のうちのいくらかが生前に支払われるという特約。生前給付ともいう。
保険数理上の分類
- 死亡保険
- 被保険者が死亡したときに保険金を支払う。
- 定期保険は純粋な死亡保険である。保険料率の計算は、自然保険料方式と平準保険料方式の2種類がある。
- 「自然保険料方式」とは、加入者の年齢ごとにその死亡率に応じた保険料を徴収する方式で、保険期間中、毎年保険料が増加する。
- 「平準保険料方式」とは「自然保険料方式」の保険料上昇のデメリットを補うために、あらかじめ保険期間に応じて保険料を前払いするもので、保険期間中の保険料の変動がない。ちなみに自然保険料方式の場合、その年に払い込まれた保険料は、すべて保険金として出て行くことが前提になっているので予定利率という概念がない。予定利率は前払い保険料が発生する平準保険料方式のみの概念である。
- 生存保険
- 被保険者が満期時に生存しているときに保険金を支払う。
- いわゆる「年金」は生存保険に該当する。生命表によって生存している人の年齢ごとの割合から延べの受け取る回数を計算して、その間の金利(予定利率)も考慮に入れて、積み立てられた原資から加入者すべてが毎年一定の年金額を終身で受け取れるようにしたもの。
- ちなみに養老保険は上記死亡保険と生存保険を1対1でブレンドしたもので、生死混合保険とも呼ばれる。終身保険は生存が支払条件とはなっていないが、保険数理上は養老保険の満期を105歳に伸ばしたものである。
生命保険の保険料
生命保険の保険料は、予定利率、予定死亡率、予定事業費率の三つを元に算出される。
- 予定利率
- 徴収された保険料を元手に、保険会社がどれだけ増やせそうかという数字。
- 仮に10人の人が1年満期の保険に入り、保険期間中に死ぬ人が1人で、支払われる保険金が100万円とすると、集めるべき保険料は、本来、100万×0.1=10万となるが、実際には保険会社は保険料を運用しているので、年10万円もの保険料ではなく、あらかじめ増やす予定の分だけ割り引いた保険料を徴収している。この、いわば割引率のことを予定利率という。
- 予定死亡率
- その生命保険に入ったもののうち、何人が死亡し、保険金を支払うことになるかという数字。
- 予定事業費率
- 保険会社の経営に必要な諸経費
契約にあたって
- 何のために・誰のために・どんな時のために保険が必要なのか
- 貯金等の他の手段ではなく、何故保険でなくてはだめなのか
- 自分にとって、家族(遺族)にとって、本当に保険は必要なのか
必要な保障というのは、各人の価値観やライフスタイルなどによって多様である。死亡時に必要な補償額は、一概に年齢だけで決められるというものではないし、その他の保障についても同様のことが言える。自分が死んだときに、残された人にとって本当に保険金が必要かというのすら、個々人のライフスタイルによって異なる。コストをかけて生命保険の保障を受けなくても、単なる貯金や公的社会保障制度(健康保険・厚生年金・遺族基礎年金・生活保護など)でも十分ということもある。生命保険ではなく損害保険で賄える場合もある。また、場合によっては、死んだときの保障よりも入院したり介護状態になったときの方に備えておかなければならないという場合もある。
つまりは、誰しも・万人が生命保険が必要というものではないことになる。個人の貯金や公的な社会保障制度でも足りない分があればそれを生命保険を使って補う、ということを念頭に置くことも、上手に生命保険を活用する方法である。
生命保険豆知識
- 生命保険には税金がかかる。以下の例は保険金3000万・年収800万円・生命保険以外の財産が無い場合
- 生命保険の保険料は、保障の期間中同額の全期型と一定期間毎に保険料が上がる更新型がある
- 契約時に提出する告知書(加入時の自分の健康状態を記入するもの)に偽りがあったり、告知漏れがあった場合には、保険金は下りないこともある(告知義務違反)
- 被保険者の同意が無ければ、たとえ夫婦・親子であっても保険の加入は出来ない
- 保険料が払えなくなっても、返戻金がある種類の保険であればそれを原資にして保障を継続することが出来る(保険期間を変えずに保険料を少なくする払済保険、保険金額を変えずに期間を短くする延長定期保険など。但し、付随していた特約は自動的に解約となる)
- 保険会社が破綻した場合には、その保険は本来なら、無効になる。しかし、契約者への影響が大きいことから、保険会社がお金を出し合い、契約者保護機構というものが作られており、実際には、別の救済保険会社もしくは保険契約者保護機構が保険業務を引き継ぐ事が多い。しかし、バブル崩壊や海外生保の流入により破綻する保険会社が増え、契約者保護機構もそろそろ限界に来ている。
- 保険料金額は、月払いより年払い、年払いよりは一括納金(全期前納)の方が、訪問集金より口座振替の方が若干安くなる
- 個人で加入するより勤務先の企業などの団体扱いの保険があれば、後者の方が保険料も安くなる
- 解約・減額は外交員や営業所以外にも「ライフセンター」などと呼ばれる窓口でやってもらう方法もある
- 保険金などの請求権は、原則として支払事由発生日の翌日から起算して3年を経過した時、時効により消滅する
- 契約期間が1年を越える生命保険の場合、基本的にクーリングオフが出来るが(書面の交付又は第一回保険料支払日から8日以内に手続きを行えば可能)、自ら保険の営業所などに行って契約した場合には、クーリングオフはできない
- 保険金の請求事由(死亡等)が発生しても、直ちに保険金の給付が受けられない場合がある。そのため、大金が必要なとき(葬儀等)に保険から現金が用立てられないといったトラブルが発生することがある。保険金の給付までにかかる期間等は加入時に確認する必要がある。
- 入院に関する保険金の給付に日数がかかった場合、給付時までに容態が回復したりすると、その状態に応じて給付が減額されることがある。そのため、即時給付の保険と、給付までに日数がかかる保険の場合で、給付額が異なってくる場合がある。(即日給付される保険であれば、後日回復したからといって給付額の減額(返金)を求められたりすることは通常ない)これもよくトラブルの原因になるので、よく確認すべきである。
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